ブルーアンバー
back number
歌詞を考察
うたばなし
ブルーアンバー【back number】最後の「ねぇ綺麗よ」で、隠すのは終わる?
はかせ歌詞を研究しているキャラクター
みお仕事帰りに歌を聴く聞き手のキャラクター
みお
帰り道に聴いてて、最後でほっとしたのよね。隠すのをやめた歌なんだって、ずっと思ってた。
はかせ
ほっとしたのは、どの言葉を聴いたときだった? 隠すのをやめた、と感じた所を聞いてみたいな。
みお
「ごめんね」のあとの「ねぇ綺麗よ」でしょ。謝って、綺麗って認めて終わるから、もう隠さなくていいって言ってるのかなって。
最初に決まるのは、見せない約束
人様に見せるものじゃないの
はかせ
それを確かめるために、歌い出しに戻ろう。流れ出た赤い雫について、最初に言われるのがこの行なんだ。何の雫かより先に、見せないという扱い方が決まってる。
みお
赤い雫って、血なのか涙なのか、どっちなんだろう。そこが分からないと、何を見せないのかも分からないでしょ。
はかせ
雫が何かは言われないまま、すぐあとで、伝えなかった「言霊」がもうひとつの自分になって、身体の内側で何かを叫ぶ、と続くんだ。
みお
それ、静かに隠れてるのとは違うよね。むしろずっと声を上げてる感じ。
はかせ
清水依与吏さんは、ドラマ公式サイトのコメントで、全ての判断において「全細胞一致の可決」とはいかないと話してるんだ。歌詞の行を説明したものじゃないけど、「見せるものじゃない」と決める側と、内側で叫ぶもうひとつの自分が同じ身体にいる形は、重ねて読めるね。
みお
同じ身体の中で、意見が割れてるってことよね。隠すと決めた側も、たぶん平気ではないのかも。
最初の「ごめんね」はどこに?
駄目だよ全部隠しておくの
ごめんね
はかせ
その歌い出しから少し進んだ、最初の「ごめんね」が出てくる所だよ。
みお
この「ごめんね」って、誰に謝ってるのかな。急に出てくるから、相手が見えないのよね。
はかせ
すぐ手前は「駄目だよ全部隠しておくの」だね。
みお
あ、隠しなさいって言った、そのすぐ後なんだ。
はかせ
うん、間に何も挟まずに続いてる。言い聞かせる相手は、内側で叫んでいたもうひとつの自分と読めるし、この「ごめんね」は、隠させることへの謝りとして聞こえるんだ。抱きしめた誰かへの謝りと取る読みもあって、相手の名前は歌詞に無いけどね。
「醜く」と「綺麗よ」が同じサビに
これ以上醜くなりたくないのと
私の中で誰にも見付けられずに
こんな色になるまで泣いていたんだね
綺麗よ
はかせ
ここが1番のサビ。「醜くなりたくない」と「綺麗よ」が、同じサビの中に入ってるんだ。
みお
でも「醜くなりたくない」って、隠す側の「私」の言い分じゃない? 醜いところを見せたくないから隠す、っていう。
はかせ
そう聞こえるのも分かる。ただ、「なりたくないのと」の「と」を受けて続くのは、「見付けられずに」「泣いていたんだね」なんだ。だから、泣いていた側がそう言いながら泣いていた、と取るほうが言葉の続き方に近いかな。
みお
どっちの言い分だとしても、最後の「綺麗よ」は何を言ってることになるの?
はかせ
「醜くなりたくない」と言いながら誰にも見付けられずに泣いていたものが、同じサビの終わりで「綺麗よ」と呼ばれる。その間に、人に見せるという言葉は入らないんだ。
みお
言われてみれば、間に「見せる」は出てこないかも。
はかせ
だから変わったのは、見せるかどうかじゃなく見え方だと読めるよ。泣いていたのが誰かを決めなくても、その形は同じなんだ。
みお
「醜くなりたくない」って言ってた側に「綺麗よ」が届くのが、なんか不思議。
2番は沈んで待つ。ドラマとの距離は?
はかせ
2番に入ると、雫は青い雫になる。1番は抱きしめられた、受けた側の記憶だったけど、今度は渡せなかった側の心から流れ出るんだ。
遠くの海の底に沈んで
そのまま宝石にでもなれるのを待つわ
みお
沈んで宝石になるのは、誰なの? 雫が沈むのか、「私」が沈んでいくのか、どっちにも聞こえるんだけど。
はかせ
そこは主語が無くて、どちらとも言えないんだ。ただ、「見せる」が2番で浴びせるに替わっても、打ち消しのまま。そのあとも飲み込み、沈み、待つと続いて、外に出す動きは出てこない。
みお
聴いてて前から気になってたんだけど、これ、ドラマの主題歌って聞いたの。歌の「私」とドラマの主人公って同じ人なの?
はかせ
北川景子さん主演の『あなたを奪ったその日から』の主題歌として書き下ろされた曲だよ。子どもを失った中越紘海が、事故を起こした惣菜店の社長の娘を誘拐してしまう話なんだ。でも歌詞には子どもも誘拐も出てこないから、同じ人とは決められない。
みお
重ねたくなる行は確かにあるかも。「誰かの悲劇で自分の悲劇を癒して」とか、ドラマっぽく聞こえるし。
同じサビが、待つわの後に来ると
はかせ
2番のサビは、1番のサビと一字も変わらない。変わるのは、その手前で何を聴いてきたかなんだ。
みお
同じ言葉なのに、意味が変わることってあるの?
はかせ
2番では「宝石にでもなれるのを待つわ」と、何かが変わるのを待っていた。そのあとに「こんな色になるまで」泣いていたと聞くと、同じものかは決めなくても、もう変わっていたと知らされるように響く。くり返しの確かめとも取れるけどね。
みお
あれ、「遠くの海の底」のはずなのに、泣いてたのは「私の中」って言ってる。
はかせ
そこは面白いところで、沈んだのが雫なら、遠ざけたつもりのものが内側で泣いていた、という読みになる。沈んだのが飲み込んだほうなら、抱えたまま沈んだことになって、それとも食い違わないんだけどね。
みお
遠くじゃなくて、自分の中で泣いてたって思うと、ちょっと切ない。
最後の二行で、何が変わった?
ごめんね
ねぇ綺麗よ
はかせ
2番のサビのあとに足される最後の2行だね。「綺麗よ」に「ねぇ」が付くのは曲全体でここだけで、「ごめんね」も今度は綺麗と呼んだあとに来る。二度目の謝りは、綺麗だと気付くまで泣かせておいたことに向いている、と読める。
みお
綺麗って認めて「ねぇ」って呼びかけたなら、もう隠してないってことにならない?
はかせ
そこが分かれ目なんだ。隠したものを人に見せる、打ち明けると言い直す行は、最後まで一つも出てこない。2番の「息も出来ずただ 愛してるの」も、誰に向けたのかも、伝えたのかも書かれていないんだよね。
みお
見せる行が無いなら、「ねぇ」は何をしてるの?
はかせ
「ねぇ」は、それまで「綺麗よ」とだけ言っていた所に、呼びかけが加わった形だね。泣いていたものへの声のかけ方が変わった、と読むよ。でも見せる行は足されないまま曲は終わって、このあと見せるのかは歌の外のことなんだ。
みお
声をかけただけでも、私がほっとしたのはそこだったのかも。でも二度目の「ごめんね」は、これからも隠しておくことへの謝りにも聞こえて、ちょっと引っかかる。
はかせ
どちらにも聞こえるんだよね。声をかけたところで、曲は止まっている。
はかせのまとめ
問い
最後の「ねぇ綺麗よ」で、隠すのは終わる?
答え
「綺麗よ」は隠すのをやめた言葉ではないと読める。泣いていたものの見え方と呼びかけ方は変わるが、隠すことを取り消す行は最後まで出てこない。
次に聴くときは
二つの「ごめんね」が、それぞれ何の直後に来るかを聴き比べてみて。
楽曲情報
| 曲名 | ブルーアンバー |
|---|---|
| アーティスト | back number |
| 作詞・作曲 | 清水依与吏 |
| 発売 | 2025年4月28日 |
