ちゅだい
Creepy Nuts
歌詞を考察
うたばなし
ちゅだい【Creepy Nuts】線引きを頼む語り手は、どっち側にいるの?
はかせ歌詞を研究しているキャラクター
みお仕事帰りに歌を聴く聞き手のキャラクター
みお
「線引き頼むでゾーニング」って、線を引いてほしい人の言葉よね。この語り手は線の外から見てる側なのかな、それとも中にいる側なのかな。
はかせ
どっちにも取れそうだね。決める前に、語り手が自分の言葉で何を言っているかを、曲の順に拾っていこうか。
みお
私は外の側かなって思ってた。ゾーニングって、ちゃんと分けて管理する人の言い方でしょ。
線を引いてと頼む声は、どこから?
はかせ
曲は頭からサビで始まる。その歌い出しのサビの、この3行から見ていこう。
勝手に合ってまうチューニング
日常に紛れるSKBに注意
しっかり線引き頼むでゾーニング
みお
線を引きたいなら、自分で引けばいいのに。なんで「頼むで」なのかな。
はかせ
手前の行も同じ目で見てみて。チューニングはふつう自分で合わせるものなのに、ここでは「勝手に合ってまう」んだよ。
みお
「紛れる」も、向こうから入り込んでくる言い方よね。勝手に合うのも、頼むのも、自分で選んだ感じがしない。
はかせ
止められないものの話が続いたあとの「頼むで」だからね。自分では線を引ける側にいないと認めたうえでの頼みだ、と読んでみようか。
アンタもコッチの住人
はかせ
続けて出てくるのがこれ。「アンタも」の「も」は、先に誰かがそこにいるときの言い方だよね。先に「コッチ」にいるのは、語り手自身なんだ。
みお
じゃあ語り手は最初からコッチにいて、聞いてる側も「も」で引き込まれてるのね。さっきの私の予想、いきなり外れたかも。
たまにポエミーなインプレゾンビに
食らっちまってる4時
はかせ
これは4時の場面。人を「インプレゾンビ」と呼ぶ、冷たい呼び名を使っている。なのに、その相手に「食らっちまってる」んだよね。
みお
冷めた目で見てるつもりで、ちゃっかり食らってる。突き放す側と巻き込まれる側に、片足ずつ入ってる感じ。
はかせ
このサビの終わりは数字が続くけど、語り手の自慢にも、4時に眺めている他人の話にも聞こえる。先へ行こう。
「無視」のあとに続く街の話
みお
サビが終わると、場面が夜の街に変わるんだ。
三角座りで泣いてるべっぴん
視界の端にキャッチ
いや無視無視無視
みお
この「無視」って、泣いてる人を無視してるのかな。でも「キャッチ」って、客引きのことかもしれないでしょ。
はかせ
迷うところなんだよね、何を捉えたのかが付いていないから。ただ、どっちの相手でも、「いや」のあとで語り手がしていることは変わらないんじゃないかな。
みお
「いや」で打ち消して、「無視」を3回。視界の端に入ったものを、外へ押し出そうとしてる。
はかせ
相手が泣いている人か客引きかは、決めなくても話が進むんだ。サビで人に頼んでいた線引きを、ここで初めて自分の言葉で引こうとしている。ここは読みだけどね。
みお
でも、そのあとって、話はどこへ行くのかな。
はかせ
数えると、次の行から9行ある。「あの娘は歌舞伎の住人」から始まって、お金のことから鉤括弧の言葉まで出てくる。「無視」と言った直後に、目は街の娘のほうへ向かっているんだ。
みお
「歌舞伎の住人」の「住人」って、サビの「コッチの住人」と同じ言葉じゃない?聞き手にも、あの娘にも付いてる。
はかせ
そう、同じ「住人」が聞き手にも、あの娘にも付いているんだ。「無視」と言ったそばから、語り手の目は街の側へ向かっているよね。
「泣かした場合」から「アリ」へ
はかせ
夜の話がループのように閉じると、警告の英語が5回くり返されて、サビのあとの後半に入る。
ムスメを泣かした場合
リーアム・ニーソンに速攻で変身
はかせ
リーアム・ニーソン主演の映画『96時間』は、元秘密工作員の父親が、パリで誘拐された17歳の娘を救い出す話だよ。
みお
「泣く」って言葉、ここにも出てくるんだ。前の「泣いてる」とは、そのあとに続く行が違うね。
はかせ
条件として置かれているのは「泣かした場合」。欲望があるかどうかじゃなく、泣かすかどうかに線が引かれてる、とも聞こえるね。映画も、娘を救う父親の話だしね。
みお
でも「場合」は仮定だよね。本気の線引きというより、警告みたいに聞こえるけど。
はかせ
「場合」は仮定のまま、警告の形で置かれているだけだね。線の置き場所が、ここでは泣かすかどうかに寄っている。次は産婦人科に移る、その最初の一行だよ。
産婦人科に似つかわしくない香水
はかせ
始まりは「似つかわしくない」、その場に合わないと決める言葉だね。続けて豹柄のコート、立った襟、襟足と、見た目を一つずつ数えていく。
まぁこーゆーゴールもアリ
はかせ
その場面が、この一行で閉じる。合わないと判定した同じ語り手が、最後は「アリ」と言うんだ。「まぁ」に皮肉を聞く読みも残るけど、裁く言葉から認める言葉へ動いた、とも取れるよ。
みお
少し前は「ループ」で、終わらない話だったでしょ。そのあとに「ゴール」って言葉が来るのね。
はかせ
そうだね。終わらないことを言う語のあとに、終わりを言う語が来ている。ただ、ループの行き着いた先とまでは言えないよ。
「笑うな」の次の行の「俺ら」
みお
最後のサビに戻る手前、「ちゅでぃ」の行で始まるところね。ここが一番はっきり言ってる気がする。
人の ちゅだい を笑うなっちゅうに
アニマルに戻る俺らの装備
みお
「笑うな」って、聞いたときは世間に怒ってる言葉だと思ってた。人の欲を笑う外の目に、文句を言ってるような。
はかせ
「人の」が誰を指すかは書かれていないから、その受け取り方も成り立つけど、語り手は人を「インプレゾンビ」と呼んで「無視」を重ねてきた。香水は「似つかわしくない」と判定した。「笑うな」のすぐ次の行で、自分を「俺ら」に入れているんだ。
みお
じゃあ「笑うな」って叱ってる相手に、語り手自身も入ってるってこと?
はかせ
ここは読みなんだけど、外の誰かを叱るだけじゃなく、笑う手前まで行っていた自分にも向いた一言としても聞けるんだ。
同じ言葉で戻るサビは、どう聞こえる?
はかせ
ここから最後のサビ。「線引き頼むで」の頼みも、歌い出しと同じ行のまま戻ってくる。違いは「ムリ」が「無理」になる一か所と、最後の「ちゅだい」だけだよ。
たまにポエミーなインプレゾンビに
食らっちまってる4時
はかせ
4時の場面も、「インプレゾンビ」という呼び名ごと、言葉は何も変わらずに戻ってくるよ。
みお
言葉が同じなら、まだ外から笑ってるんじゃない?「笑うな」って言ったのに、また「ゾンビ」って呼んでるわけでしょ。
はかせ
笑うのをやめたとは書かれていないし、呼び名も消えていない。読みとしては、変わるのは言葉の意味じゃなくて聞こえる位置なんだ。自分を「俺ら」に入れたあとだと、この呼び名を、線の外から笑う側だけの言葉としては聞きにくくなる。
みお
「ゾンビ」って呼びながら、すぐ隣で「食らっちまってる」。外から笑うだけじゃなくて、コッチの住人がこぼした言葉にも聞こえてくるね。
はかせ
「ちゅだい」と書かれるのは、「笑うな」の行と最後の行だけだね。同じ書き方で戻るから、並びを「人の ちゅだい」として受け取る手がかりにもなる、と読めるよ。曲名で締めただけとも取れるけど。
はかせのまとめ
問い
線引きを頼む語り手は、どっち側にいるの?
答え
語り手は「アンタもコッチの住人」と最初から自分をこちら側に置き、線引きを人に頼む。「笑うな」の次の行で自分を「俺ら」に入れるので、戻るサビの呼び名は外から笑う側だけの言葉には聞こえにくい、と読める。
次に聴くときは
最後のサビの「インプレゾンビ」と「食らっちまってる」を、「俺ら」の行と続けて聴いてみて。
楽曲情報
| 曲名 | ちゅだい |
|---|---|
| アーティスト | Creepy Nuts |
| 作詞 | R-指定 |
| 作曲 | DJ松永 |
| 発売 | 2025年3月12日 |
