愛情と矛先
Mrs. GREEN APPLE
歌詞を考察
うたばなし
愛情と矛先【Mrs. GREEN APPLE】「愛情」と「矛先」は、どういう関係なの?
はかせ歌詞を研究しているキャラクター
ひなたJ-POP が好きな聞き手のキャラクター
ひなた
題の「矛先」って、よく考えたらどういう意味なの?「愛情」と並んでるけど、どうつながるのかがぴんと来なくて。
はかせ
大辞泉だと「矛の切っ先」と「攻撃。また、攻撃の方向」の二つが載ってるよ。どっちの意味でも、題だけでは愛情との関係は決まらないから、歌詞の中で二語がどこに出るかを追ってみよう。
ひなた
題は「と」でふたつ並べてるだけだよね。歌詞の中でも、ずっと並んでるのかな。
歌い出しの「愛」は、どう置かれている?
夢を語ったって 今じゃ笑われる世の中さ
愛を伝えたって まともに聞いてくれやしないさ
はかせ
歌い出しの2行だね。語る、伝えるっていう相手に向けたことを「〜たって」で受けて、笑われる、まともに聞いてくれない、と聞く側の反応で閉じてる。世の中についての、もしもの言い方なんだ。
ひなた
題は「愛情」なのに、ここはただの「愛」なんだね。愛って、伝わるかどうかは相手次第ってこと?
はかせ
そういう置かれ方をしてる、と読めるね。愛は「伝える」ものとして出てきて、その先が聞く人の態度で言われてる。ただ「〜たって」だから、実際に聞かれなかった出来事を言ってるわけじゃないよ。
ひなた
でも次の「大丈夫だよ」は、聞いてもらえたからじゃないんだね。貴方自身が気づいてるから、って理由になってて、少しすっと楽になる。
題の二語は、武器として出てくる
ひなた
このあと、題の二語がそのまま歌詞に出てくるんだよね?
「誰の意見がどう」とかいいから
君なりに今打破だ
武器は「愛情と矛先」
はかせ
ここは「とかいいから」で誰かの意見を退けてから、「君なりに」と君に任せてるんだ。
ひなた
意見を待たずに、君なりに、ってことなんだね。武器って、そのための道具なのかな。
はかせ
うん。すぐあとでも、自分の意見はどうかと聞く声を同じように退けて、君のやり方で形にして見せてほしい、と続くんだ。武器「愛情と矛先」は、人の評価を待つかわりに、形にして見せるために渡されている、と読める。
ひなた
でも直前に「打破」ってあるよね。武器は世の中を打ち破るためで、形にすることとは別じゃない?
はかせ
その取り方もできるよ。ただ、どっちでも、評価を問う声を退けてから君に任せる流れは変わらない。
癒しの行と、来ない助け舟
傷ついた貴方を癒してあげよう
はかせ
1番の終わりだね。「傷」はここで貴方の傷として、もう一つの癒しの行では「錆」が心の錆として、まず受け手の側の痛みとして置かれてるよ。
はかせ
2番に入ると、歌い出しと同じ「〜たって」「〜さ」の形に戻る。今度は、誰かを求めたって助け舟は来ない、と言うんだ。
ひなた
歌い出しは夢と愛で、2番は敬意と助けを求めること。世の中への言い方が、また続くんだね。
2番では武器が防具に替わる
ひなた
2番の真ん中も、1番とほとんど同じ言葉が戻ってくるよね。何が替わってるの?
防具は「優しさと円盾」
はかせ
この行、1番の武器の行とほとんど同じ形なんだよ。
ひなた
武器が防具になって、「愛情と矛先」が「優しさと円盾」に替わってる。でも、ふたつを「と」で並べる形はそのままなんだね。
はかせ
替わるのは四行だけだよ。武器の行のほかは、打破が死守に、意見を問う言葉が容姿を問う言葉に、形にして見せる呼びかけが着飾りの形を打ち消す言い方に替わるんだ。
ひなた
愛情は攻める側、優しさは守る側で、別々の道具ってこと?
はかせ
同じ形の行で、愛情は矛と、優しさは盾と組まれてるよね。別の装備として分けて置いている、と読めるかな。
最後の手前まで二語は並ぶ
はかせ
癒しの2行は1番と同じまま2番も終わって、そのあとに前に無かった三行が来るんだ。
愛情と矛先で
はかせ
2番のあとに、前に無かった三行が来る。その最後の行がこれで、1番の武器と同じ「愛情と矛先」の並びなんだ。今度は「武器は」も鉤かっこも外れて、「で」が付いてる。
ひなた
この「愛情と矛先で」の前には、どんな行があるの?
はかせ
直前は「錆びて盾が打ち破られても」で、防具の盾は出るのに、優しさは出てこないんだ。二語を「と」で並べる形は、1番の武器、2番の防具、この行の三か所で、題も同じ並べ方。矛先はまだ愛情と並んでるね。
最後の行で、矛先は何と呼ばれる?
大丈夫だよ。安心して。
君の強さは偉大なものだ
その君の矛先を愛と呼ぼう
はかせ
最後の三行だね。「矛先」は曲全体で三回出て、愛情と並ばずに出てくるのは、この最後の行だけなんだ。「愛情」のほうは、一つ前の三行の終わりを最後にもう出てこない。
ひなた
最後でやっと、愛情と矛先がひとつになったってことじゃないの? 題のふたつが「愛」にまとまった感じがして。
はかせ
そう取る読みもあるよ。ただ、ここの「と」は並べる「と」じゃなくて、「愛と呼ぼう」の、呼び名を示す「と」なんだ。言った時点で名付けた、という取り方もあるけど、名付けが済んだとは歌詞は言っていないよ。
ひなた
じゃあ、この「愛」は「愛情」を短く言っただけ? それとも歌い出しの「愛」と同じなの?
はかせ
「愛」が一つで出てくるのは、歌い出しの「愛を伝えたって」と、この最後の行の二か所だけなんだ。どちらかの言い換えなのか、同じものを指すのかは、歌詞からは決めきれないよ。
ひなた
でも置かれ方はちがうよね。歌い出しは「まともに聞いてくれやしない」って聞く人の反応で終わってたのに、最後は誰がどう受け取るかが出てこない。
はかせ
行の終わりが「〜よう」の形なのは、癒しの四行とこの行だけなんだ。癒しの行も、癒えたあとはどこにも言わない。「呼ぼう」も同じで、するところで止まってるね。
ひなた
矛先を愛って呼ぼう、って言うところで、そのまま終わってるんだね。
はかせ
うん、止まってるんだね。呼び名に選ばれたのは「愛情」じゃなくて、一つで出るのは歌い出しだけの「愛」なんだ。
ひなた
最後の「愛」のあとには何も続かないんだなって思って戻ると、最初の2行がちょっとちがって聞こえるかも。
はかせ
うん、歌い出しの「愛」には、「まともに聞いてくれやしない」が続いていたね。
はかせのまとめ
問い
「愛情」と「矛先」は、どういう関係なの?
答え
題の二語は、最後の行の手前まで歌詞でも「と」で並ぶ。矛先が愛情と離れて出るのは最後の行だけで、矛先を「愛情」でなく「愛」と呼ぼう、と言って止まり、二語が一つになったとも、その愛が何と同じかも言っていない。
次に聴くときは
歌い出しの「愛を伝えたって」の閉じ方と、最後の「愛と呼ぼう」の閉じ方を、続けて聴いてみて。
楽曲情報
| 曲名 | 愛情と矛先 |
|---|---|
| アーティスト | Mrs. GREEN APPLE |
| 作詞・作曲 | 大森元貴 |
| 発売 | 2016年1月13日 |
