希望
SUPER BEAVER
歌詞を考察
うたばなし
希望【SUPER BEAVER】正義の話は、なぜ信念の話に変わるの?
はかせ歌詞を研究しているキャラクター
ひなたJ-POP が好きな聞き手のキャラクター
ひなた
「希望」って、歌い出しから言葉がぎっしりで、何の話かつかめないまま終わっちゃう感じがするの。
正義さえも多面的で
はかせ
歌い出しはこの一行で、いちばん先に「正義」が来るね。数えてみると、この語が出てくるのは、この一行だけなんだ。
ひなた
えっ、この一行だけなの? 最初に置いたのに、そのあとはもう戻ってこないの?
はかせ
うん、あとの行には戻ってこないんだ。正義で始まった話がそのあとどこへ行くのか、それを追ってみよう。
正義の話は、いつ一人の問いに?
はかせ
歌い出しは「さえも」が付くから、正義も例外じゃなく、いくつも面を持つ言い方だね。次は「放火魔ばっか 異常」と続いて、どの正義が正しいかを決める話には入らないと読めるよ。
ひなた
「異常」って、正義が間違ってるっていう判定なの?
はかせ
「異常」のすぐ前にあるのは、放火魔みたいな人「ばっか」っていう様子なんだよね。その行に、どの正義が正しいかを言う言葉は無い。だから「異常」は、その様子に向けた判定という形かな。
ひなた
正義の面もいっぱい、放火魔みたいな人もいっぱい。どれが正しいかじゃなくて、とにかく多いって話なのかな。
何のための信念?なあ
はかせ
多さの話のすぐあとに「自問自答」が来て、問いの向きは大勢から一人へ変わると読める。最初から自分への問いだったとも取れるけどね。ただ、問われる語は正義じゃなく「信念」になってる。
ひなた
でも信念って、結局「自分にとっての正義」の言い換えじゃない? 言葉が変わっただけな気もする。
はかせ
その読みも残るし、別物かどうかは歌詞だけでは決められないんだ。ただ「何のための」と聞かれたら、答えるのは信念を持つ人で、大勢の正義の話からその人が目的に答える問いへ移った形かな。
ひなた
遠くの騒ぎを眺めてたのに、「自問自答」って言葉で、急に話がこっちに戻ってきたみたい。
岐路に立つのは、誰のこと?
はかせ
ここから中ほどの4行。岐路に立つ、という言葉が三度くり返されるところだね。
ひなた
岐路に立ってる、って聞くと、電車でイヤホンしてる私のことみたいに聞こえたの。これ、誰の話なんだろう。
はかせ
ここまでの行に、自分を指す言葉は出てきてないんだよね。岐路に立っている人の名前もない。
ひなた
あ、確かに。誰が立ってるのか言ってないから、「誰の話なんだろう」って思ったのかな。
はかせ
そこが手がかりでね。聞く人が自分を重ねられる形とも、語り手が主語を省いただけとも取れて、誰か書かれていないのはどちらも同じ。作り手が空けたかは決められないよ。
ひなた
誰とも決まってないから、聞いてる私がふわっと入っちゃうんだね。
はかせ
もう一つ、この4行には時間も並んでる。昨日、今日、明日と三つの日を並べて、最後が「選んでいく」。選ぶことは一回で済む事じゃなく、この先も続く事として書かれているんだ。
ひなた
ずっと続くんだね。じゃあ、そのあとの短い三行は、その「選んでいく」とどうつながるの?
正義と信念は、何が違う?
はかせ
最後の4行は、「人生を」から始まる「を」で終わる短い三行と、「さあ、」の一行。その三行目がこれだよ。
信念のありかたを
はかせ
ここで「信念」がもう一度出てくる。曲全体で数えると、「信念」は問いの行とここの二度、「正義」は歌い出しの一度きりだね。最後の4行にも、自分を指す言葉は無いままだよ。
ひなた
戻ってきた信念って、最初の「何のための信念?」と何が違うの?
はかせ
「を」の三行には動詞が無いんだ。「さあ、」のあとに来るはずの動詞につなぐ読みもあるけど、すぐ前の「選んでいく」につなげて読むなら、信念のありかたも、昨日から明日へ選び続けるものの一つに入る。
ひなた
じゃあ信念は、一回で固まりきる形では書かれてない、ってこと?
はかせ
そう、固まりきるものとしては書かれてないんだ。ただ、同じ信念を日ごとに選び取っているだけとも読めて、信念が変わるとまでは歌詞は言わないよ。
ひなた
正義は面がいっぱいあって、信念は選び続ける。そこが違うってこと?
はかせ
「多面的」を一つの面に決まらないことと取るなら、そうなるね。正義は同時に並ぶ多さ、信念のほうは選び続ける時間の中。決まらなさの形が置き換わったと読める。
ひなた
選び続けるって言うけど、題の「希望」はどこに出てくるの? 聴いてて気づかなかったんだけど。
はかせ
12行のどこにも無いんだ。その代わり最後は「さあ、」の一語で、何をするのかは言わないまま止まるよ。
ひなた
「さあ、」の読点で止まるから、そのあとに自分の言葉を足したくなっちゃう。
はかせ
足したくなるよね。その先は歌の中に置かれてなくて、聴く人の側に残るんだ。
はかせのまとめ
問い
正義の話は、なぜ信念の話に変わるの?
答え
「正義」は歌い出しに一度出るだけで、「自問自答」のあと問いの語は「信念」に移る。「多面的」を一つの面に決まらないことと取り、信念を「選んでいく」につなげて読めば、正義の面の多さから、一度で固まりきらず選び続ける時間へ、決まらなさの形が移ったと読める。
次に聴くときは
「信念のありかたを」が、前の「選んでいく」に続いて聞こえるか、聴いてみて。
楽曲情報
| 曲名 | 希望 |
|---|---|
| アーティスト | SUPER BEAVER |
| 作詞・作曲 | 柳沢亮太 |
| 発売 | 2026年6月24日 |
