花束を君に
宇多田ヒカル
歌詞を考察
うたばなし
花束を君に【宇多田ヒカル】最後のサビ、一行だけ変わると何が変わる?
はかせ歌詞を研究しているキャラクター
ひなたJ-POP が好きな聞き手のキャラクター
ひなた
最後のサビって、1番とほとんど同じなのに、一行だけ違う気がするの。最後で何かが変わったってことなのかな?
はかせ
変わった一行だけを見ても、何から何に変わったのかはつかみにくいね。まず1番のサビで、この結びがどう言われていたかを見ようか。
1番と2番で、言葉との距離はどう違う?
ひなた
1番のサビって、花束の歌だと思ってたら、急に言葉の話が出てくるよね。あれってどういうこと?
はかせ
言葉のことがはっきり話に出るのは、1番のサビのここだよ。
どんな言葉並べても
真実にはならないから
はかせ
「から」で止まってるね。理由だけ言って、どうするかは次の行に回してる。
ひなた
あ、次が花束を贈る行なんだ。言葉のことを言ってから、花束につながってる。
はかせ
うん。ここは、言葉を「真実になるかどうか」で測って、ならないから脇に置いてる、と読めるね。言葉を退ける理由が、真実の一点で言われてる。
ひなた
どれだけ並べても本当のことにはならないから、言葉じゃなくて花束で、ってこと?
はかせ
「から」で花束へつないでるから、そう聞こえるのは自然だね。理由は真実の一点で言われてる。2番のサビは、あいだの行が入れ替わって、花束へは「から」じゃなく「神様しか知らないまま」とつなぐんだ。
ひなた
1番は言葉を疑ってて、2番は「言いたいこと」をそっとしまったまま渡す感じ。同じ花束なのに、渡し方が違って聞こえるね。
「真実」が二度出る、逆の結び
はかせ
2番のサビが終わると、サビの形が戻らない所に入る。「僕」は、ここで初めて出てくるんだ。
ひなた
急に「僕」が出てきて、すっと近くなった感じがする。ここで何を言ってるの?
はかせ
1番のサビは「愛しい人」と呼びかけるだけ、2番は言いたいことを言わずにおいた。ここでは「ありがとう」と言って、「君の笑顔が僕の太陽だったよ」と言い切ってる。君がどんな存在だったかを、ここで初めて言葉にしている、と読めるね。
ひなた
でも、1番のサビでは言葉は真実にならないって言ってたよね。ここで言い切っちゃうの、ちょっと食い違ってない?
今は伝わらなくても
真実には変わりないさ
はかせ
「真実」が出るのは、1番のサビ以来これで2回目。1番は「並べても」、ここは「伝わらなくても」のあとに「真実には」が来る。結びだけが「ならないから」と「変わりないさ」で逆なんだ。
ひなた
えっ、じゃあ「変わりないさ」って、何が変わりないの?言葉のこと?それとも気持ち?
はかせ
そこは歌詞に無いんだ。感謝や、君の笑顔が太陽だったという言い切りの言葉のことと取れば、1番の疑いに答えた行になる。気持ち全体と取れば、気持ちは本当だと言うだけで、1番の疑いとも並んで成り立つよ。
ひなた
私は「ありがとう」の直後だから、言葉のことに聞こえるかな。気持ち全体でも読めるのは分かるけど。
はかせ
言葉のことと聞く読みは成り立つよ。この行のあとは「抱きしめてよ」の一行を挟んで、すぐ最後のサビなんだ。
最後のサビで、替わるのは結びだけ
はかせ
そして最後のサビ。1番のサビと並べると、頭の行から「どんな言葉並べても」までは、そっくり同じなんだ。
どんな言葉並べても
君を讃えるには足りないから
ひなた
あ、最後の行も「から」で終わってるんだね。花束の行へつなぐ形は、1番と同じなのかな。
はかせ
つなぐ形は同じだよ。替わるのは結びの中身で、1番は「真実にはならないから」、最後は「君を讃えるには足りないから」。
ひなた
結びだけ替わると、何が変わるの?言葉じゃだめって言ってるのは同じに聞こえるけど。
はかせ
言葉を何に照らして退けるかが替わってる、と読めるんだ。1番は、本当のことになるかどうか。最後は、君をたたえるのに足りるかどうか。
ひなた
でも、どうして最後で替わったの?途中で何かあったのかな。
はかせ
理由そのものは歌詞に無いんだ。あいだに「真実には変わりないさ」があって、言葉のことと取れば、最後の結びは真実の物差しが外れたあとの言い直しに聞こえる。気持ち全体と取れば、同じ疑いを讃えるという別の物差しで言い直しただけになるよ。
ひなた
1番の「ならない」は突き放す感じだったのに、最後の「足りない」は君のほうを向いてる気がする。でも、言葉を信じるようになったかは、まだ分からないかも。
はかせ
そこは決められないままでいいと思うよ。最後も、結びのあとは1番と同じ花束の行に戻るよ。
はかせのまとめ
問い
最後のサビ、一行だけ変わると何が変わる?
答え
最後のサビは結びだけが「真実にはならない」から「讃えるには足りない」に替わり、言葉を測る基準が移ったと読める。理由は歌詞に無く、「真実には変わりないさ」を言葉のことと取れば疑いが片づいたあとの言い直し、気持ち全体と取れば同じ疑いの言い直しに聞こえる。
次に聴くときは
1番の「真実にはならないから」と最後の「君を讃えるには足りないから」を、聴き比べてみて。
楽曲情報
| 曲名 | 花束を君に |
|---|---|
| アーティスト | 宇多田ヒカル |
| 作詞・作曲 | Utada Hikaru |
| 発売 | 2016年9月28日 |
