Lemon
米津玄師
歌詞を考察
うたばなし
Lemon【米津玄師】「今でもあなたはわたしの光」は、3回とも同じ意味?
はかせ歌詞を研究しているキャラクター
しおり言葉が好きな聞き手のキャラクター
今でもあなたはわたしの光
しおり
この一行、曲の中で何度も戻ってきますよね。同じ言葉なのに、最後に聴くときだけ違って聞こえて、ノートに書いたまま止まっているんです。
はかせ
言葉は一字も変わらずに戻ってくるよね。それでも違って聞こえるなら、変わっているのは一行の中か、外か、ということになる。
しおり
中は同じなので、外ですよね。すぐ手前に何が来るかで、受け取り方が変わるのかもしれないです。
はかせ
その線で読んでみよう。光の一行のすぐ前が、どんな言葉で終わっているかを見るんだ。
光より先に、暗さが置かれている
はかせ
歌い出しで、あなたのことを「未だに」夢にみる、と言うよね。終わったはずのことが今も続いている、という言葉で、光の一行の「今でも」と同じ向きに聞こえる、というのが一つの読みだね。
しおり
1番の前半には、まだ「光」は出てこないんですか?その前に何が置かれているのか気になります。
言えずに隠してた昏い過去も
あなたがいなきゃ永遠に昏いまま
はかせ
1番の前半の終わりで、「昏い」が2回重なる。くらい、と読む字だね。光はまだ一度も出ていなくて、サビの最後で初めて出てくるんだよ。
しおり
じゃあ、そのあとに出てくる光の一行は、この暗さとどう関わっているんですか?
はかせ
あなたがいなきゃ昏いまま、と言ったあとで、あなたは光、と来る。光はこの暗さへの答え、という読みができるね。幸せは戻らないとも言っているから、あなたがいない今は昏いままだ、とも取れるけど。
1回目の光は、言い切りで置かれる
しおり
1回目の光のすぐ前の行は、どう終わっているんですか?
雨が降り止むまでは帰れない
はかせ
「帰れない」で文が閉じていて、次の光の一行へ続いていく言葉が無いんだ。言葉のうえでは、1回目の光は一行だけで言い切られている。
しおり
雨がやむまで帰れない、で足が止まって、そのまま光の一行が来る感じがします。立ち止まった場所で、ただそう言っているみたいです。
覚えているのは背、知らないのは横顔
はかせ
2番に入ると、また暗さの言葉から始まる。今度は暗闇の中で、あなたの背を「なぞった」と言って、その輪郭ははっきり覚えている、と続くんだ。見た記憶じゃなくて、触れた記憶だね。
わたしの知らない横顔で
しおり
覚えているのは背中なのに、横顔は「知らない」って言うんですね。同じ人なのに、知っている所と知らない所がはっきり分かれてる。
はかせ
横顔で何をしていたの、何を見ていたの、と問いかけているよね。知らない面があると分かっていて、それでも光と呼んでいる。ここは、全部知っているから光、という話とは別に聞こえるね。
しおり
知らない横顔があると分かっていて、2番の終わりでも同じ光の一行を言うんですね。全部は知らないままの光、なんですね。
「忘れて」と願うほどの光
わたしのことなどどうか 忘れてください
そんなことを心から願うほどに
しおり
2番の終わりのここ、わたしのことは忘れて、と頼んだすぐあとに、また光の一行が来ますよね。手放すのに光って、ちぐはぐに聞こえて。あ、でも手前の終わり方を見るんでしたね。
しおり
次の行は「ほどに」で終わっていて、1番の「帰れない」みたいに止まらないですね。
はかせ
そう、「ほどに」が次の光の一行へ続くね。忘れてほしいと心から願う、その強さの分だけ、あなたは光だ、という言い方になる。
しおり
忘れてほしいのに、光とは言い続けるんですか?
はかせ
そう聞こえるよね。手放す願いの強さが光の強さになる、と読めるけど、あなたも涙の中にいるなら、という仮定の願いで、今どこにいるのかは歌詞に出てこないんだ。
死の歌かは、歌詞で決まる?
しおり
2番が終わると短い行が続きますよね。この曲、主題歌だと聞いたんですけど、本当ですか?人が亡くなる歌なのかな、と思っていて。
はかせ
本当だよ。米津玄師がドラマ『アンナチュラル』のために書き下ろした曲で、2018年1月からTBSの金曜ドラマとして放送された、その作品の主題歌なんだ。ただ、ドラマの中身から歌詞の意味を決めることはしないでおくよ。
しおり
じゃあ、歌詞の中に手がかりは出ているんですか?人が亡くなったと分かる言葉とか。
はかせ
ここまでの歌詞に「死」という言葉は無いし、「あれから」が何のあとなのかも分からないから、人の死の歌と決めるには足りないね。
とても忘れられない
それだけが確か
しおり
ここ、さっきの「忘れてください」と逆向きですね。あなたには忘れてほしいのに、「とても忘れられない」って言うんですね。
はかせ
あなたを、と補って読むと、忘れてという願いは自分の気持ちに逆らうものになる。「ほどに」で光が受けた願いの重さにもなるよ。あの日のこと、と取れば弱まるけどね。
3回目は「の様に」を受けて
はかせ
1回目は言い切り、2回目は「ほどに」だったね。最後のサビは1番と同じ言葉で戻るけど、光の一行の前に、ここにしか無い行が一つ入る。
切り分けた果実の片方の様に
しおり
「の様に」で終わってますね。この行も止まらずに、そのまま光の一行へ続いていくんですね。
はかせ
そう。3回目の光は、切り分けた果実の片方、というたとえを受けて言われる。2番の「あんなに側にいた」を思うと、光は分かれてしまったことを含んで聞こえてくるよ。
しおり
切り口がぴったり合うのは、もう片方だけですよね。いつかまた合わさる希望にも聞こえるんです。
はかせ
どちらも成り立つよ。「片方」を重く取れば分かれたほう、切り口を思えば合わさるほうに寄る。ただ何をたとえるのかは、歌詞には書かれていない。
しおり
「片方」と聞くと、最後の光の一行が少し遠くに聞こえてきます。
はかせ
遠くに聞こえるよね。「の様に」のあと、そのまま光の一行へ続いていくんだ。
はかせのまとめ
問い
「今でもあなたはわたしの光」は、3回とも同じ意味?
答え
言葉は3回とも同じだが、すぐ手前の行が「帰れない」の言い切り、「ほどに」、「の様に」と毎回違い、光の受け方が変わる。3回目は、分かれたことを含むとも、また合わさる希望とも読める。
次に聴くときは
最後のサビの「の様に」から光の一行へ続く所で、光が何を受けているか聴いてみて。
楽曲情報
| 曲名 | Lemon |
|---|---|
| アーティスト | 米津玄師 |
| 作詞・作曲 | 米津玄師 |
| 発売 | 2018年3月14日 |
