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ビリミリオン【優里】「その値段じゃ売れない」って、値段次第ってこと?

2026.10.244分で読めます

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その値段じゃ売れないな

優里『ビリミリオン』より

しおり

この一行が、ずっと引っかかってるんです。断ってるのに、値段さえ合えば売るって聞こえちゃって。

はかせ

どの言葉が、そう聞こえさせてるのかな?

しおり

「じゃ」に目が行くんです。「売らない」じゃなくて「その値段じゃ」だから、断りに値段がくっついてるなって。

はかせ

その断りの手前に何があるか、から見てみよう。

老人の50億と、すぐには出ない答え

しおり

曲のはじめで、老人は「君」に何を持ちかけてるんですか?

50年を50億で買おう」

優里『ビリミリオン』より

はかせ

1番の前半だね。老人が買いたいのは「寿命」で、50年を50億と、年数と金額をそろえて言っている。理由の「やり直したい」は、かぎかっこの外で伝えられるんだ。

しおり

そのあとの毎日は「起きて」「働いて」ばかりで、楽しいって言葉がないですよね。手放したくない気持ちはあるのに、すぐ断らずに「考えて」るんですよね。

はかせ

すぐには突っぱねないんだよね。量っているのか、自分の毎日への自問なのかは分かれるけど、どちらにしても、その姿勢が締めの一行を値段の形にした、と読めるよ。

断りに付いた値段の条件

恋愛もできなくなるよな

優里『ビリミリオン』より

はかせ

断りの直前に、考えた理由が並ぶ。「身体」も「友達」も恋愛も、失うことを「だろう」「よな」と見込む言い方になっているね。

しおり

失うことばかり並べたのに、締めは「売らない」じゃないんですね。

はかせ

うん。直前までは失う話なのに、締めは「その値段じゃ」と条件の形なんだ。言葉の上では、値が変われば話も変わる余地が残る、という読みになるね。

しおり

でも、軽い冗談みたいに言ってるだけかもしれないですよね。本気で値上げを待ってるとは思えなくて。

はかせ

本気だったかは、歌詞からは決められない。ただ、断りが値段を条件にした形で言われていることは、この一行で確かめられるよ。

サビの数は老人の言い値

しおり

続く1番のサビにも50億が出てきますよね。あれって、老人の言った数と同じなんですか?

僕が生きてるこの時間は

50億以上の価値があるでしょう

優里『ビリミリオン』より

はかせ

数は老人と同じ50億。違うのは、すぐあとに「以上」が付いているところなんだ。

しおり

老人の数をそのまま使って、上乗せしてるんですね。

はかせ

そうなんだよ。それに、老人が買おうとしたのは先の50年だったのに、ここでは「生きてるこの時間」と、今のことに言い直しているね。

値上げと、付け足される暮らし

「それなら倍の100憶出そう

優里『ビリミリオン』より

はかせ

2番は1番と同じ行で始まって、老人は今度「倍の」額を出してくる。「それなら」は前の言葉を受ける語で、その手前にあるのは「その値段じゃ」と50億「以上」なんだ。

しおり

「奥さん」って、1番で失うって言ってた恋愛と関係あるんですか?

はかせ

老人は「つける」と二度言って、「奥さん」や子ども、「豪邸」や仕事まで足してくる。奥さんは1番の恋愛に重なって見えるけど、身体や友達に当たるものは足されていないんだ。

しおり

足されるほど、値段で押し切ろうとしてる感じがします。「つける」が二回続くの、しつこいくらい。

「いらないよ」に値段は付かない

はかせ

同じ2番の続きで、「僕」はまず計算をする。100億を50年で割って、年に2億の「大富豪」だと受け止めているんだ。

見つけたいからいらないよ

優里『ビリミリオン』より

はかせ

この「いらないよ」には、1番の「その値段じゃ」のような条件が付いていない。付いているのは、好きな人を「自分で」見つけたいという理由だけだね。

しおり

これ、取引ぜんぶを断ってるんですか? 好きな人の話だから、奥さんとか、付けられたものだけを断ってるのかなとも読めて。

はかせ

そこは、どちらとも決められないんだよね。ぜんぶなら、断り方が値段の条件を外した形に変わったことになる。どちらにしても、理由が失う話から、選ぶのは誰かという話に移っているのは同じだよ。

しおり

付けられたものだけを断ったなら、取引そのものへの答えはこのあとに出る、ってことですよね。

売り値はどこにも出ない

100億以上の価値があるでしょう

優里『ビリミリオン』より

はかせ

うん、2番のサビは数が替わって戻ってくる。50億には50億以上、倍の100億には100億以上と、二度とも老人の言い値に「以上」を足した形だね。

しおり

じゃあ「僕」が売ってもいい額って、歌詞のどこかに出てくるんですか? 年に2億っていう数は出てましたけど。

はかせ

年に2億は言い値を年数で割った数で、どんな額でも売らないと言い切る行も無いんだ。サビの数は二度とも言い値に「以上」を足すだけで、売り値が示されない答え方と読める。額の大きさを強めただけ、という見方も残るけどね。

金額が消えて、決める側が変わる

無限大の可能性は

誰にも譲れない

優里『ビリミリオン』より

はかせ

2番のサビのあと、ここには老人も金額も出てこなくて、数は「無限大」と「何十回」だけなんだ。「誰にも」は老人に向けたとは書かれていないけど、老人も入りうると読めば、「売れない」の言い換えにも聞こえるよ。

しおり

「何にでもなれる今」のあとだから、自分の可能性を守る言葉にも聞こえます。

はかせ

そう聞くこともできるね。老人の話の続きとしても、自分の可能性の話としても読めて、続く行で諦めないのは「僕」だよ。

僕が決めるから

優里『ビリミリオン』より

はかせ

1番と2番で、額も付けるものも決めていたのは老人だったね。ここでは「生きる理由」を「僕が決める」と言っていて、決める側が老人から「僕」に移った、と聞こえるんだ。

数の無い「安いものじゃない」

僕らが生きる時間は

決して安いものじゃないから

優里『ビリミリオン』より

はかせ

最後の部分の頭は、サビの「僕が生きてるこの時間は」が少し形を変えて戻ってくるんだ。「僕」が「僕ら」に、「生きてる」が「生きる」になって、「この」が消えた。続く「安いものじゃない」には数が無く、値段の言葉はここで終わる。

しおり

最初の「その値段じゃ」、値段次第って意味だと思ってたのに、今は、値段の言葉で答え始めて、最後まで売り値を言わない、その入口に聞こえます。

はかせ

入口、か。さっきとは違う所から、あの一行を聴き直すことになるね。

はかせのまとめ

問い

「その値段じゃ売れない」って、値段次第ってこと?

答え

「その値段じゃ売れない」は値段を条件にした断りの形だけど、サビの数は二度とも老人の言い値に「以上」を足すだけで、売り値はどこにも示されない。そういう答え方をしている歌だと読める。

次に聴くときは

「50億以上の価値」と「決して安いものじゃない」で、数が付いているか聴いてみて。

楽曲情報

曲名ビリミリオン
アーティスト優里
作詞・作曲優里
発売2023年1月19日