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しわあわせ【Vaundy】思い出さなくなるのに、なぜ「しわあわせ」?

2026.10.244分で読めます

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しおり

題の「しわあわせ」を、ノートに書いたまま考えてたんです。曲の終わりのほうで、嬉しいのと寂しいのが同時に聞こえてきて。

はかせ

両方聞こえるなら、どっちかを聞き違いにしなくていいよ。

しおり

引っかかってるのは、「思い出すこともなくなって」のあとに「しわあわせ」が来るところです。思い出さなくなるのに、どうして「しわあわせ」なんですか?

心臓の値段と、数えられるしわ

はかせ

歌い出しからいこう。「僕」の心臓は時価総額400円と値段で、君の心臓は「綺麗な」と見た目で言われるんだ。辞書だと時価総額は、発行済み株式数にその時点の株価をかけた額で、市場の評価による企業の価値と考えられるものだよ。

合わせてできたしわの数が

僕達の未来の価値だ

Vaundy『しわあわせ』より

しおり

価値と呼ばれるのは、値段でも見た目でもなく「しわの数」なんですね。そこが気になります。

はかせ

値打ちのはかり方が、値段から、合わせてできたものの数へ移ってるんだよね。「未来の価値」と呼ばれているから先の値打ちとも読めるし、「合わせてできた」と言うので、もう重ねてきた数とも取れるよ。

しおり

そのすぐあとで、時間が少ないとか、崩れてくとか、減っていく話になりますよね。値打ちの話とどうつながるんですか?

はかせ

歌い出しのあとの2行は、どちらも「のなら」で終わっていて、時間が減るとは言い切ってないんだ。それを「零さないようにあわせて」で受けてる。覚えておく、じゃなくて、あわせる動きで返しているように聞こえるんだ。

しおり

時間が減るなら覚えておこう、じゃなくて、こぼれないように合わせよう。歌い出しで心臓を合わせてたのと、同じ言葉です。

サビで「今も」続くのは何?

しおり

1番のサビに入ると、一字だけ違う言い直しが二組ありますよね。何が違うんでしょう。

ちぎれない

ちぎらないよ 僕ら

今もしっかり繋いでる手

Vaundy『しわあわせ』より

はかせ

言い直した方の行にだけ、「僕ら」が付くんだ。一字違いの二組とも、そうなってるよ。

しおり

「ちぎらないよ」のほうに「僕ら」が付いてます。ちぎれない、だと手の具合みたいなのに、こっちは誰がしないのかが出てきて、ちょっと強く聞こえます。

しおり

じゃあ、その「僕ら」が今も続けてるのは何かというと、「握って」いることと、繋いでる手です。覚えてる、とはどこにも言ってないですよね。

はかせ

そう、サビで続いているのは、握ることと繋ぐことのほうなんだ。思い出の話は、ここまで一度も出てきてない。

波の数と、悲しい隙間

はかせ

2番の前半は、1番の頭と同じ組み立てなんだ。心臓が「僕」の一生分の心拍と君の一拍に、しわが波に入れ替わる。1番は「価値だ」と今のこととして言ったけど、2番は二人が揺れ合っていた、と過ぎたことの形で終わるんだよね。

しおり

数えてるのは、どっちも合わせてできたもの、ですよね。

はかせ

2番のサビの前も「のなら」が2行続くんだけど、今度は時が早く過ぎることと、隙間が余って「悲しい」ことで、逆向きの困りごとなんだ。それを1番と同じ「零さないようにあわせて」で受けてる。

しおり

足りないときと余るときで、同じ返事でいいんですか?「あわせて」ばかりで、ちょっと不思議です。

はかせ

2番は直前が「有り余る隙間」だから、「あわせて」は隙間を埋める行いとしても聞けるね。これは読みだよ。

思い出さなくなるのに、しわあわせ?

はかせ

2番のサビのあとに、一度だけ出てくる部分に入るよ。「重なる」ひびも「流るる」ひびも、「僕達」はいつか思い出さなくなるんだろう、と先のことを思う言い方なんだ。

思い出すこともなくなって

そんな

しわあわせで

Vaundy『しわあわせ』より

はかせ

「重なるひびを」からのまとまりが、もう一度来るんだ。一度目はそのあと「しまうんだろう」と続いたけど、二度目はここに引いたとおり、「そんな」「しわあわせで」に変わるよ。

しおり

「そんな」から、そのまま「しわあわせで」へ行くんですね。最初に寂しさと嬉しさが一緒に聞こえたの、ここでした。

はかせ

題の「しわあわせ」がそのまま出るのは、ここまでで初めてなんだ。「そんな」は、その前の思い出さなくなることを受けていて、そこまで含めて「しわあわせ」と呼んでる、と取れるよ。どこまでを指すかは、一つに決まらないけどね。

しおり

ここまでは、しわを思い出の量と読んでも通じてたんですけど。思い出さなくなるのに、それが幸せって、話が合わなくないですか?

はかせ

しわを覚えている中身と取ると、ここで食い違うんだ。ただ、歌い出しの価値は「しわの数」で、サビの「今も」も覚えていることには付いてなかったよね。

しおり

じゃあ「しわあわせ」も、覚えてることより、握ってるほうの側ってことですか?

はかせ

そう。だから「しわあわせ」は、合わせることそのもの、と読みたいんだ。思い出す必要がなくなる、と取っても、覚えていることの側には置かれない点は同じだよ。

しおり

それで「しわあわせで」の「で」なんですけど、言い切らないまま、すぐ最後のサビの「変わらない」が来ますよね。

はかせ

最後のサビの行そのものは、1番と同じなんだ。でも「で」で止まってすぐ続くから、思い出さなくなっても変わらない、と一続きに聞こえてくる。言葉の上でつながっているかは決められないから、聞こえ方の話としてね。

しおり

同じ行なのに、1番のときよりずっと重たく聞こえます。

題の言葉が、行いの形にほどける

また、しわをあわせて

Vaundy『しわあわせ』より

はかせ

曲のいちばん最後の行は、題の言葉がさっきの一度きりだったのと違って、「しわを」「あわせて」とほどけて、頭に「また」が付いているんだ。

しおり

「しわを」「あわせて」って聞いて、お仏壇のCMを思い浮かべたんです。あれと関係あるんですか?

はかせ

お仏壇のはせがわのCMに、手のしわとしわを合わせてしあわせ、と言う有名なフレーズがあるね。ただ、Vaundyがそれを下敷きにしたかは確かめられていないんだ。それに歌詞のしわは、手じゃなくて心臓を合わせてできるものなんだよね。

しおり

最後の「また」は、何をもう一度するんでしょう。

はかせ

合わせることそのもの、と読めるよ。一語の名前の形だった「しわあわせ」で終わらず、最後は「あわせて」という、まだ途中の動きで閉じてるんだ。

しおり

最初は、思い出さなくなる寂しさと、題の嬉しさがばらばらに聞こえてたんです。でも、思い出さなくなっても、また合わせるなら、どっちも一つのことに聞こえてきました。

はかせ

最初に言ったとおり、寂しさも嬉しさも、聞き違いじゃなかったんだね。

はかせのまとめ

問い

思い出さなくなるのに、なぜ「しわあわせ」?

答え

「しわあわせ」は、覚えている思い出の量ではなく、心臓を合わせてきたこと、合わせることそのものと読める。そう読むと、思い出さなくなるだろうと先を思ったことも「しわあわせ」と呼べて、曲は「また、しわをあわせて」ともう一度する形で終わる。

次に聴くときは

最後の「また、しわをあわせて」を、2番のあとの「しわあわせで」と聴き比べてみて。

楽曲情報

曲名しわあわせ
アーティストVaundy
作詞・作曲Vaundy
発売2021年4月11日